『ズートピア』と『ズートピア2』が描く、現代社会と失われた種族の物語

ディズニー

(12月14日、記事をアップデートしました)

動物たちが仲良く暮らす街――

「ズートピア」

この物語は、動物たちが人間のように暮らす大都市・ズートピアを舞台に

新米警官のジュディと詐欺師のキツネ・ニックが難事件に挑む物語です

一見、明るく平和な世界に見えるこの街には

偏見・差別・多様性

そして種族の失踪といった

僕たちが生きる現代社会とよく似た社会構造が描かれています

今回は、そんな『ズートピア』の深いテーマ性をあらためて掘り下げつつ

『ズートピア2』の内容には踏み込みすぎない形で

感想と考察をお届けしていきたいと思います

それでは、さっそく見ていきましょう!

ズートピアと現代社会

ディズニー作品において

「いじめ」「虐待」といった社会的テーマは

これまで比較的オブラートに包んで描かれてきました

しかし『ズートピア』では、それらをかなり明確に、そして現実的に表現しています

ディズニーの長編アニメの中で、ここまで“社会問題”を真正面から扱った作品は珍しく


これまででいえば『ポカホンタス』(人種・文化の衝突)『ノートルダムの鐘』(宗教・差別の問題)など

ごく限られた作品しかありませんでした

そうした流れの中で『ズートピア』は

“差別”“偏見”“多様性”といった現代社会の問題を

動物というモチーフを通して明確に描いた作品となっています

動物で捉える“偏見”とは

例えば、主人公のジュディは「ウサギ」というだけで

「小さくて弱い」「警官には向いていない」といった偏見を受け

いくら努力しても周囲から認めてもらえません

一方で、ニックは「キツネ」というだけで

「ずる賢くて信用できない」と決めつけられ

結果的にその偏見どおり、詐欺師として生きる道を選んでしまいます

このように“他者からの偏見”が本人のアイデンティティや行動を縛ってしまう構造は

現実の社会でもよく見られるものではないでしょうか?

僕たちもまた、無意識のうちに人や社会に“レッテル”を貼ってしまうことがあります

それを、動物たちの社会を通して描いたのは

まさにディズニーらしい巧みな表現方法だと思います

種族ごとに起きる“差別”とは

物語の中盤では、肉食動物がある花の成分によって狂暴化する事件が発生します

この出来事をきっかけに、「肉食動物は危険だ」という恐怖や偏見が広まり

ズートピアの社会では草食動物と肉食動物の間に明確な分断が生まれてしまいます

草食動物たちは「自分たちは数が多く、文明的で安全な存在」だと信じ

肉食動物を“潜在的に危険な種族”として排除するようになります

この構造は、まさに現代社会にも通じるものがあります

“人種”“宗教”“性別”“文化”など、見た目や背景の違いによって起こる差別や偏見は

私たちの社会にも今なお根強く存在しています

これはあくまで僕の考察ですが

『ズートピア』における草食動物と肉食動物の関係は

アメリカ社会の“白人と黒人”の関係を象徴しているようにも感じます

アメリカでは長い歴史の中で

白人が多数派として社会的な権力や教育機会を握ってきました

一方、黒人は少数派としてしばしば暴力や偏見の対象となり

犯罪率や治安といったステレオタイプと結びつけられてきました

作品の中で、肉食動物が「いつ暴れるかわからない存在」として恐れられる描写は

まさにそうした人種問題の比喩として読むことができます

草食動物が数的に優位であり、知的・穏やかな存在として描かれているのに対し

肉食動物は数が少なく、力強いが誤解されやすい存在として扱われています

この対比構造は、まさにアメリカ社会の“多数派と少数派”の構造を反映しているように思えます

物語が語る“多様性”とは

この作品において

ジュディとニックの関係性は“多様性”の象徴だと思います

最初、2人は草食動物と肉食動物という立場から互いに偏見を持っていました

しかし事件の真相に迫る中で、それぞれの能力や個性を尊重し合い

最終的には警察官として良きバディへと成長します

この関係性は

「違いを恐れるのではなく、受け入れること」こそが共存の第一歩であることを示しています

『ズートピア』の世界では、動物たちにもそれぞれの特性があり

さらにその中でも種族ごとの個性や価値観が存在します

この複雑さこそ、現代社会そのものの象徴ではないでしょうか

私たちの社会も、自分が思っている以上に複雑で

グローバル化によって価値観や情報が入り乱れる現代では

自分の個性や能力を理解されることが難しい時代になっています

偽りの情報や偏った考えが偏見を生み

それが“差別”を助長してしまう

結果として、ニックのように

「自分らしさを隠して生きる」人が増えてしまう社会になりつつあるのかもしれません

しかし、そうならないためにこそ

お互いの違いを認め合い、尊重し合う姿勢が必要

『ズートピア』が描いた理想の街は、「誰もが自分らしく生きられる社会」の象徴です

この映画は、私たち一人ひとりに

“お互いの違いを認め合い、尊重し合うこと

そして、人や社会を変えようとする前に、まず自分自身を見つめ直すこと”

という問いを投げかけているのではないでしょうか

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ズートピア2と歴史から消された種族たち

「ズートピア」は、哺乳類の肉食動物と草食動物の共生を

現代の社会構造に当てはめて描いた物語でした

一方で『ズートピア2』では

ズートピアという街の“過去”が語られ

この街にはかつて爬虫類が存在していたという歴史に触れることになります

※ここからは物語を少し深掘りするため、
ネタバレを避けたい方は次章へお進みください。


再び平和が戻ったズートピアに、また新たな事件が起こります

それは、爬虫類の痕跡をめぐる捜査です

ジュディとニックは、爬虫類の残した痕跡を追う中で

事件の真相に近づいていくと同時に

ズートピアが抱えてきた“暗い歴史”にも触れていくことになります

歴史と陰謀論は紙一重な部分があり

物語は一見するとかなりオカルトチックにも感じられます

実際、今作に登場するビーバーのニブルズは

そうした陰謀論めいた話を語るキャラクターとして描かれています

しかし今回、僕はあえてオカルト的な解釈ではなく

人間の歴史的事実と『ズートピア2』との接点に注目してみたいと思います


かつて、僕たちが生きるこの地球には

数多くの部族や民族が存在していました

マヤ文明、アイヌ民族、アメリカ先住民などが、その代表例でしょう

しかし、宗教の布教活動や土地開拓、国家の拡大といった“繁栄”の名のもとに

彼らは滅亡へ追い込まれたり

あるいは国民の一部として吸収され

独自の文化や歴史を失っていきました

そしてその影響は、今日に至るまで続いています

『ズートピア2』では、こうした失われた爬虫類の歴史を通して

人間社会における「消えていった民族の痕跡」というテーマを

作品世界に取り込んだのかもしれません

まとめ

「ズートピア」では“差別”や“偏見”を通して

多様性を認め合うことの難しさと大切さが描かれてきました

そして『ズートピア2』では、失われた部族というテーマを通して

人類社会が歩んできた歴史や社会構造とリンクする物語が描かれています

この二つの作品の根底に共通しているのは

「多様性を認め合うこと」こそが社会を前に進める原動力である

というメッセージではないでしょうか


『ズートピア2』では、そこに新たに

“爬虫類”という種族が加わりました

爬虫類は卵から生まれる生き物です

しかし、卵から生まれる生き物は爬虫類だけではありませんよね

もし『ズートピア3』が制作されるとすれば

次はどの種族が描かれるのでしょうか

そして、その種族の物語は

現代社会のどんな問題や構造とリンクして描かれるのか──

今から楽しみでなりません

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